初めて犬を飼ったのが小学校の頃だった。

当時はまだ犬をお金を出して買うという常識は存在せず、誰かからもらうものであった。

雑種であったが、もちろん外で飼っていた。

そして私は6年前、インターネットの激安販売で見つけた35000円の柴犬を買った。雌の柴犬でピーチかピースという名前にしようと思っていたのだが、仕事から帰ると家族のみんなが「ココ」と呼んでいた。

娘の鶴の一声でココになった。

私はココがとてもかわいくなった。かわいくてかわいくて仕方なくなった。

まだ子供が中学生だったので、家族で旅行に行くことになった時、泣く泣くココを動物ホテルにあずけた。飼って半年くらいの時だ。

ココは人見知りするので、あずけた時にすごく悲しい目をしたような気がした。

伊豆に一泊の旅行に行ったのだが、(サンバレー)もう二日目の朝から、ココに会いたくなってきた。

ココは今頃どうしているのだろうか?さみしがっていないだろうか?

いてもたってもいられず、お昼には「家に帰る。」と言って強引に高速に乗った。

ココ、ココ、今帰るぞ。

動物ホテル(ホテルというよりも、多くの犬を広場のようなところで遊ばせて夜にゲージに入れる所)についた。

私は一目散に店に入り、そしてココを見つけた。

かわいい、なんてかわいいんだ。たった一日合わなかっただけで、こんなにもかわいさが増すのか?

ココ、ご免。一人にさせてしまって。

でももう大丈夫だよ。さあおいで。

感動的なシーンだった。

私はココに両手を広げて近づいた。

ココが逃げて行った。

店員さんが言った。

「あの~ココちゃんはあっちにいますよ。それは違う犬です。」

おしまい。